放送を見てくださり、ありがとうございました。本当は、もっともっとじっくりと出演者の方々の面白い発想を引き出し、そこに英語学習の要素を交ぜたかったのですが、生放送でしたので上手にできませんでした。
放送の中で、バナナ、グレープフルーツ、レモン、ブドウの4種類の果物の中で、他と違うものを1つ選び出そうという活動を行った時、和牛の水田さんが「レモンは何にでも合う」と言われて、大爆笑しました。水田さんは以前調理師をなさっていたとは言え、このような発想ができるからこそ、和牛は人気があるのだと思いました。
言葉は、情報の授受のために使います。何か知りたいことがある、伝えたいことがあるという状況で、初めて言葉を使う必然性が出てきます。努力して流ちょうな英語を身につけても、話す内容に魅力や重要性がなければ、相手にしてもらえません。日本の英語教育は、@言語を操作する力をつける、A発想力を鍛えたり感性を豊かにしたりする、という目標のうち@に力点が置かれており、Aが十分ではないと思います。
英語が堪能な人や英語教育の専門家であれば、@に重点を置いた授業ができると思います。中学校の先生が小学校で英語を教えたり、外国語指導助手や地域の人材、英語教育を専攻する学生などが小学生を教えたりする時は、@にフォーカスが当たった授業ができます。しかし、多くの小学校の先生方は学生時代に英語を専攻なさった方ではありませんし、先生になられてから英語の指導法を研究したという方も多くはないと思います。充実した研修の機会が豊富にあるわけでもなく、小学校における適切な英語指導と評価の仕方を教えてもらうこともなく、これを使えば授業がうまくいくという教材があるわけでもない状況で、国語や算数など他教科も教えないといけない小学校の先生方が英語も教えてさらに評価もしなければならないというのは、酷だと思います。
ですから、私は英語の専門家でない小学校の先生が英語の授業をされる時は、Aに力点を置いた授業をされるといいと思います。番組でご紹介した果物クイズでは、色という観点ではブドウ、形ならばバナナ、実のなり方ならばレモンが他と異なります。あのゲームは、物事を様々な観点で見る力を要求するAの活動でした。@に関しては、「おはよう朝日です」の中でも言いましたが、日常会話ができるようになりたければ中学3年修了程度の、ビジネス英語ができるようになりたければ高校3年修了程度の英語力が必要です。ですから、勝負は中高です。
では、「レモンは何にでも合う」というのは英語でどう言うでしょうか。私はLemons go well with various dishes. ぐらいかな?と瞬間的に思いましたが、ちょっとしっくりこなかったことと時間がなかったことで、司会の岩本さんに「その発想を英語にどうつなげていくんですか」と尋ねられた時、「1個ずつでいいから単語を増やしていくんですね」と答えただけで次へ行ってしまいました。
収録が終わって振り返っていたら、「レモンはこの場合液体だから無冠詞単数形にして、Lemon goes well with any food.か。「レモンは、どんな食べ物と一緒になっても、うまくいきます」という意味です。これを覚えると新たな文が体に入るんですよ」と言えたらよかったのにと思いました。
生放送の番組で瞬時に翻訳できるのは、パックンのようなバイリンガルレベルであって、モノリンガルである私は、確信できない時はその場で辞書を引いて確認し、何とか通じさせた上でネイティブに「本当はどう言うんですか」と尋ね、正しい英文を教えてもらって、それを1つずつ覚えてきましたと、テレビで正直に伝えるべきだったなと思いました。ネイティブでない人間はこうして積み上げていくしかないという実態を見てもらえますので。
芸人さんは発想が素晴らしいですね。人とは違う角度から切り込んで来るので、それを瞬時に英語で表せるようになりたいです。司会の方々は母語だとは言え、突発的なことや芸人さんの面白い発言をいつも上手に料理されるので、尊敬いたします。私も修行を続けます。