田尻先生
Q.44
現在、高校三年生の授業を受け持っています。私は、この学年で初めて卒業生を送り出すことになるのですが、高校生活最後の英語の授業をどうしようか悩んでいます。何か彼らの今後の人生の指針となり励みになるような詩か歌を紹介しようといくつか考えていますが、初めての卒業学年ということで思い入れもあり、なかなか決まりません。田尻先生の研修会で、「砂の上の足跡」という文章を拝見させていただいたことがあるのですが、田尻先生は毎回最後の授業で、この文章を紹介されていたのでしょうか。田尻先生の中3最後の授業のことやアドバイスを聞かせていただきたく、質問させていただきました。よろしくお願い致します。  

 最後の授業には、こだわりが出てきますよね。私も3年最後の授業、特に持ち上がりの3年の最終授業は気合いが入りました。最終授業で何をするかは新年度が始まる前の春休みのうちに決めておき、1年かけてそのレベルにたどり着くよう、準備をしていきます。飛び込みの3年生には、環境問題について自分の意見を英語で書けるようになることを目標にして授業をしました。2, 3年と持ち上がった学年には、環境問題などに関するスピーチをすることと、それを聞いて即座に感想が書けることや、Q&Aができることを目指しました。1年から持ち上がった3年生は、Severn Suzukiの環境サミットでのスピーチを聞き、感想を英語で述べることを目標にしました。

 また、私は中3の11月からMy Treasureというタイトルでのスピーチを生徒にやらせていました。基本的に授業ごとに1人ずつの生徒がスピーチをするので全員が終わるのに3〜4ヶ月かかりましたが、このスピーチは卒業時のアンケートで常に人気No.1にランクされるほど素晴らしい内容が多く、そのなかでも特に感動的な内容のスピーチを書いた生徒に、クラスの最終授業でスピーチをしてもらうようにしていました。

 私の場合、「砂の上の足跡」は卒業式の後の最終学活で使っていました。保護者もその学活に参加していただき、義務教育が終わる節目に、卒業生が親に謝意を表す機会を作るためです。これは、とても好評でした。もちろん、通常の授業で、最後の締めくくりとして使うこともできると思います。

Footprints In The Sand

One night a man had a dream.
He dreamed he was walking along the beach with the Lord.
Scenes from his life flashed across the sky and he noticed two sets of footprints in the sand, one belonging to him and the other to the Lord.
When the last scene of his life had flashed before him, he recalled that at the lowest and saddest times of his life there was only one set of footprints.
Dismayed, he asked, "Lord, you said that once I decided to follow you, you'd walk with me all the way.
I don't understand why, when I needed you most, you would leave me."
The Lord replied, "My precious child. I love you and I would never leave you.
During your times of trial and suffering when you saw only one set of footprints...
That was when I carried you."

 この詩には和訳をつけ、保護者さんも理解できるようにしました。そして、その下に以下のようなメッセージを添えました。

「この詩のLord(神)を「親」に置き換えて読んでみてください。それが私からの最後のメッセージです。愛されて、支えられてきた15年間でしたね。みなさんも人を愛し、大切にし、支え、喜ばれる人になってください。人は人に喜ばれるために生まれてくるのだそうです。事実、みなさんがこれまで元気に成長してきたことが、どれほど家族に喜びを与えてきたか。
次の親孝行は、皆さん自身が幸せな人生を送ることです。卒業おめでとう。」

自分一人で授業は作れません。素晴らしい実践をなさっている先生方を知り、学び、共有させていただいてこそ、いい授業ができます。私の場合、英語授業研究学会などで知り合った先生方のおかげで、生徒や学生とともに感動できる授業にたどり着くことができました。
この詩は、筑波大学附属中学校の蒔田守先生と、広島大学附属福山中・高等学校の池岡慎先生が10年ほど前にご紹介くださったものです。

 
前の質問へ 質問一覧へ 次の質問へ
ページの先頭へ
Copyright (C)2006 Benesse Corporation All rights reserved. Supported by Benesse Corporation.