私の授業づくりは、3年間の目標を設定することから始めます。次に使用教科書を分析して学期ごとの目標を設定し、その到達度を測るペーパーテストとパフォーマンステストを作成します。そして、そこへ向けて何をどのように練習していけばよいか、その結果何ができるようになってほしいかというTo-do listを作成して生徒に渡します。生徒はそれらに取り組み、できるようになったと思ったら私のところに来てチェックを受け、合格すればその項目がCan-doとなるという流れです。Can-do itemは点数化して成績に入れますので、それが平常点となります。
授業は、家庭でできないことをする場ですので、それを強く意識して組み立てていきます。私の授業では、最初にルーティン活動を行います。それはそれぞれの時期の到達目標を達成するための活動であり、ディクテーションであったり、語句がいくつ言えるようになったかを確認する活動であったり、フォニックスカルタであったりします。
次に、新しい文法事項や教科書本文を導入する時間。ただし、私がくどくどと口頭説明をするのではなく、プリント化して生徒に渡し、理解したらドリルを体験するというのが授業の前半です。
後半は、前日までのところで紹介した文法事項や教科書本文の理解度や定着度を測る時間です。生徒はTo-do listをCan-do listに変えるべく、次々とチャレンジしてきますので、それをALTと私とでさばいていきます。その間、生徒は順番を待ちながら練習したり、次の課題に取り組んだりしています。なかには遊ぶ生徒も出てきますが、それらの生徒をどう勉強に向かわせるかが教師の腕の見せどころです。勉強に身が入らない生徒の対応に関しては、Q30の解答をご参照ください。
大学では教職に関する科目と、教養科目の英語を担当しています。教職に関する科目では、新出表現の扱いと本文の扱いなどを中心に授業を組み立てています。大学に赴任した頃は、伝えたいことが多すぎてついついしゃべってしまい、教えたところで何も残らないという体験をまたもやしてしまいましたので、現在では伝えたいことをプリントにして渡し、それを見ながら指導案や教材を作るというスタイルに代えています。
教養科目の英語では、特に新しいことを教えるのではなく、中高で学んできたことを活用する形式を取っています。ですから、私が授業で全体説明をすることはほとんどありません。学生はTo-do listを見て動き、その日のうちにやらないといけないことにチャレンジします。ですから、遊んでいる暇はありません。学生は、「田尻先生の授業は大変だ。めちゃくちゃ勉強させられる。でも、達成感が半端じゃない」と言います。彼らを本気にさせ、少しでも私の授業を受けてよかったと言ってくれる人が増えるよう、これからも努力していこうと思います。