田尻先生
Q.40
私は、私立の中高一貫校で勤務をしております。経緯をきちんと把握していないのですが、我が校では例年、中学1年生から、生徒たちに自宅での家庭学習としてラジオの英語番組を聞くように勧めていています。ただ、聞くように指示を出すだけでは、あまり力がつかないように感じています。特に中学生の生徒たちにとって有効な活用法はありますでしょうか?  

 私は海外生活や留学の経験がなく、英語はNHKの語学番組を聴いてinputし、ALTとの会話でoutputし、生徒のライティングをチェックすることで文法、語法の学習をしました。

 NHKの語学番組を使った私の学習法は、以下の通りです。

@ 英語の音声を聞き、できるだけ意味を理解する。

A シャドーイングする。

B シャドーイングできなかった単語を確認する。知らない単語は、辞書で引く。耳で聞いた音からつづりを想像して引くと、文字と音との関係に敏感になる。どうしてもつづりがわからなければ、テキストで確認する。

C テキストの英文を見る。

D もう1回、英語の音声を聞く。

E テキストの英文を見ながら音読する。ラジオの音声を聞きながら同じスピードでテキストを声に出して読む(オーバーラッピング)。

F Read and Look Upをする。テキストの一文を音読し、顔を上げてテキストを見ないで言ってみる。わからなくなったらテキストを見る。ラジオの音声と同じスピードで言えるまで繰り返す。

G 日本語訳を見て、英文を暗唱する。口から文章がスラスラと出てくるまで練習する。

H 自分にとってチャレンジングな文を覚える。

I 学んだ表現を外国人との会話で使ってみる。

 最近は忙しくて「聞くこと」しかできていませんので、私の英語力は上がっていません。やはり音読をして、体に取り込まないといけません。

 語学は、「理解」→「習熟」→「応用・発展」と進みますが、ラジオやテレビの語学番組は、音声を聞かせてから英文の意味を確認し、重要文を取り出して構造を解説し、練習するという、「理解」「応用」の部分が中心になり、「習熟」の部分には時間を割くことができません。ですから、時間が経つとともに英文が頭から消えていってしまうのです。

 ラジオやテレビの語学番組を使った家庭学習では、「習熟」の部分に力を入れなければなりません。私が2012年度から担当するNHK教育テレビ(Eテレ)『テレビで基礎英語』では、その部分にもスポットライトを当てる予定です。ぜひご覧ください。

 なお、家庭学習としてラジオの語学番組を聴くように指示する場合、「聞け、テストに出すぞ」では苦痛に感じるだけです。やらせる以上、それをやってよかったと思わせるしかけが必要です。『テレビで基礎英語』では、英語力を伸ばすための学習法も紹介しますので、ラジオ基礎英語のスキットや教科書本文に応用してみてください。

 
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