語学は「理解」→「習熟」→「応用・発展」という流れがあります。Teacher-centered な授業は、「理解」に多くの時間を割くことになってしまいます。それでは、生徒は英語を使いこなせるようになりません。詳しくは、拙著『(英語)授業改革論』（教育出版）や『生徒の心に火をつける』（横溝紳一郎他、教育出版）をご参照ください。

　Teacher-centered な授業からstudent-centered な授業に変えるには、Can-do list を作成することをお勧めします。何ができるようになってほしいかをリストアップし、それを生徒に提示するのです。以下は『Talk and Talk Book 3』（正進社）と教科書『New Horizon』（東京書籍）を使って何ができるようになってほしいのかを示したもの（2005年度2学期、飛び込みで担当した3年生用から抜粋）です。

■Q&A　＝　教科書本文を使った英問英答
ペアの一方が教科書本文に関するYes / Noの質問を1つと、who, what, how, where, when, why, which, whose などの疑問詞を使った質問を2つして、相手に答えさせます。そのあと、攻守交代して同じくYes / No の質問を1つと、疑問詞で始まる疑問文を2つします。このとき、同じ文を使うことはできません。時間制限は3分です。（各2点）

■T&T 12　＝　『Talk and Talk』 12
先生がこのページの1〜6の質問のうち3つ選んであなたの考えを尋ねます。各質問に対して2文使って答えてください。1分以内に終了したら合格です。（2点）

■T&T 14　＝　『Talk and Talk』 14
ペアでやる活動です。先生が次の(1)〜(3)のうちから1問選びます。じゃんけんで勝った方が肯定側、負けた方が否定側に立ち、ミニディベートをしてください。制限時間は1分。議論が3往復したら合格です。（3点）

(1) It's fun to play video games.
(2) It's easy to cook.
(3) It's good to play sports.

■T&T 16　＝　『Talk and Talk』 16
先生がこのページの1〜9の質問のうち3つ選んであなたの考えを尋ねます。各質問に対して2文使って答えてください。1分以内に終了したら合格です。（2点）

■T&T 23　＝　『Talk and Talk』 23
先生がこのページの1〜6の質問のうち3つ選ぶので、各質問に対して2文使って答えてください。1分以内に終了したら合格です。（2点）

■T&T 26　＝　『Talk and Talk』 26
ペアでやる活動です。先生がこのページの1〜5の写真の中から3つ選んで指さします。ペアでじゃんけんし、勝った方が質問し、負けた方が答えます。それぞれの人物に関して、2つずつ間接疑問文（『自己表現お助けブック』（教育出版）L-11参照）を作ってください。1問ごとに役割を交代し、1分以内に終了したら合格です。（2点）

■T&T 29　＝　『Talk and Talk』 29
ペアでやる活動です。先生がこのページの１〜12の質問のうち3つ選びますので、先生の前で各質問に対してペアで交互に聞き合い、答えてください。1分以内に終了したら合格です。（2点）

〔例〕A: Can you think of something to drink?
　　　B: Yes. Tea is something to drink.
　　　　　Can you think of something to drink?
　　　A: Yes. Milk is something to drink.
　　　　 （この後、次の問題に移る。これを3問行う。）

■restaurant　＝　レストランでの注文と支払い
英語教室のレストランでメニューを見て食べ物を3種類注文します。ウエイトレスはカロル先生です。その後、15%のチップをつけて代金を支払います。残念ながら食べ物を食べるシーンはカットさせていただきます。（2点）

■T&T 9　＝　『Talk and Talk』 9
このページから先生が1つ選びます。あなたは電話を使って先生と会話をし、2分以内に終われば合格です。（3点）

■T&T 10　＝　『Talk and Talk』10
先生がこのページの1〜9の質問のうち1つ選んで尋ねますので、先生の前でペアで道案内をしてください。じゃんけんで勝った人が道案内し、負けた人はそれを聞いてから正確に復唱してください。ただし、表現は違ってもかまいません。2分以内に終了したら合格です。（3点）

■T&T 35　＝　『Talk and Talk』 35
先生がこのページの1、4、7の質問をしますので、各質問に対して3文ずつ使ってあなたの考えを述べてください。ただし、同じ文を繰り返すのではなく、話を発展させていってください。1分以内に終了したら合格です。（3点）

■T&T 38　＝　『Talk and Talk』 38
先生が food, restaurant, movie, TV show, song, sport のうち3つ選んで尋ねますので、各質問に対して3文ずつ使ってあなたの考えを述べてください。1分以内に終了したら合格です。（3点）

■TV game 討論
教科書『New Horizon』Unit 5: Reading for Communication の内容に関して、ファイティング・ゲーム（戦闘ゲーム）をすることに賛成か反対かについて先生の前でペアで討論します。役割はじゃんけんで決定し、2分間討論してください。5文ずつ言えると合格です。（10点）

　それぞれの活動は点数化されており、成績に入りますので、生徒は必死になります。私は中学校勤務の最後の年である2006年度には、担当していた中学1年生に「先生は今日何分しゃべりますか？」と尋ねられて、「新しいところに入るから15分。」と答えたら、「ええ、長すぎるわ。説明はプリントにしてくださいよ。あとで何度でも読めるんだけん。それに、先生がしゃべっちょったら、俺らがインタビューテスト受けれんけん、点数が稼げんがぁ。」と抗議されました。

【その他参考資料】GTEC for STUDENTS can-do statements