授業はテレビの『水戸黄門』ではありません。毎回起承転結という流れがあり、50分で完結することなどあり得ないのです。「導入→展開→まとめ」は1つの授業で必ず行うものではなく、1つの単元や、数時間をかけて行ってもよいのです。詳しくは、拙著『(英語)授業改革論』(教育出版)P.64〜、「3.3. 点と線 〜単発型の学習からリニアな学習へ〜」をご覧ください。
もちろん、1つの授業(50分間)では、最初は語句の90秒クイズ、次はLast Sentence Dictation、次はフォニックスカルタなど、学年や時期に応じたルーティンの活動を授業の冒頭ではやります。しかし、授業にはそれぞれ目的があり、今日は読解を中心に、今日はリスニングを中心に、今日はインタビューテスト、など、主たる学習・活動内容は様々ですから、毎日同じように授業を行うということはありませんでした。
学期末や学年末、あるいはその単元が終わる時にこういうことができるようになってほしいという目標があれば、そこへ行き着くまでのプロセスが1つの授業であり、指導案とはそれを考えて作るものです。しかし、先生方の指導案を拝見すると、例えば1つの単元に4パートあると、どのパートをいつやるかが書かれているだけで、1つ1つの授業が独立してしまっています。その単元もしくは複数の単元が終わったらどんな力をつけており、どんなことができるようになっているかを明らかにし、そのために教科書の各単元やパートをどう使うかを確認しておけば、日々の授業につながりができ、数時間で1つの授業を行うという発想になります。
「Let's Read」は文字通り、読み物教材です。それまでに学習したことを駆使して読んでみようという単元ですから、先生がしゃべったり解説をしたりして邪魔をしてはいけません。いわば、入試の長文問題の練習をする場ですから、自力で最後まで読ませ、理解度を測るプリントに挑戦させ、間違っているところを確認し、どうやって次回からそういうミスをなくすかを相談していきます。
私の場合、「Let's Read」のWPM (words per minute)を測定する問題や、行間を読ませる問題を解かせたりしていました。WPMの問題にしたのは、教科書にはイラストや写真が入っており、それが本文の内容理解を手助けしてしまって本当の読解力が測れなくなるので、テキストだけを打ち出して入試の形式にしてチャレンジさせたかったからです。「Let's Read」は他の単元のようにLessonとかUnitなどがついていませんので、同じように教えていてはいけないと思います。