田尻先生
Q.23
「英語教育3月号」(大修館)の記事を読ませていただきました。その中で、到達目標 のためのCan-do listを挙げていらっしゃいましたが、高校1年生で1学期あたりは、特にどのようなリストを作ればよいでしょうか?  

 中学校は教科書が6種類しかなく、文法シラバスにのっとって作ってありますから、Can-do listはどの学校で作っても、活動のレベルの差を除けば大差はないと思います。

 一方、高校では、普通科、商業科、工業科などの違いがありますし、教科書もレベルの違いがはっきりしており、使用される語彙も表現も違います。それぞれの学校の目標に応じてCan-do listを作られるべきだと思いますし、SELHi時代にCan-do listを作成された高校や、最近新たに作成された高校もありますので、インターネットで検索して連絡し、見せてもらうなどされるとよいと思います。

 毎年夏に開催している関西大学英語指導力開発ワークショップでは、学年別到達目標や学習活動・言語活動表などを作成する作業を行っていますが、それらは一種のCan-do listであり、高校の先生方がお作りになるCan-do listは千差万別です。この作業を体験された方々の感想は、「大変だったけど、初めて何をどう教えればいいかが見えてきた」というものが多く、指導要領や教科書に全て目を通し、全体像を把握してから各学年、各学期の到達目標を作るというプロセスを体験された先生も少なくありませんでした。

 ご質問に対する私の回答は、それぞれの学校の生徒さんのニーズや学校の目標を知らなければ、Can-do listはできないということです。進学校でどんどん進めたいとおっしゃるのでしたら、過去完了と仮定法過去ぐらいは使えるようにならないといけないでしょうし、仮定法過去完了もという学校もあるでしょう。そして、WPM (words per minute)は100を超えなければという目標を立てられるかも知れません。ちなみに、高校入試を突破するためには、WPMが60以上は欲しいところです。

 中学校で英語が苦手になったり嫌いになったりした生徒の手当てが必要な高校にご勤務なさっているのであれば、中学校の教科書を3年間分、全て分析してみなければなりません。それをしないと中学英語の全体像が見えず、結局は問題集を与えて「やってこい」ということになり、先生は生徒がいつ、どんなことで、どうつまずいて、今後どう解決してやればよいか、がわからずじまいということになりかねません。早急に先生方が集まり、目標を共有し、中学校の教科書と貴校で採択された教科書と問題集を分析され、Can-do listを作成されることをお勧めいたします。

 
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