テストの作成法については、『無責任なテストが「落ちこぼれ」を作る』(若林俊輔・根岸雅史、大修館書店)と『英語テスト作成の達人マニュアル』(靜哲人、大修館書店)という名著がありますので、そちらをぜひご一読ください。また、各都道府県の入試問題や私立高校の入試問題、あるいはGTEC for STUDENTSなど全国規模で実施されているテストを分析されることで、いろいろなことが見えてきます。プロが作るテストの各問題には、何をどう測るかという細かい配慮がなされており、そのスペックを知ると目から鱗が落ちるでしょう。
成績のつけ方に関しては、2009年10月末刊行の拙著、『英語授業改革論』(教育出版)の第2章をご参照ください。章立ては以下の通りです。
2.1. 生徒の到達度をどう測るか
2.1.1. 生徒の到達目標は設定されているか
2.1.2. 生徒の到達度は点数化できる
2.2. 評価のしかたは正しい?
2.2.1. 評価基準を考える
2.2.2. 成績のつけ方・テストのしかたは正しい?
2.2.3. 「評価の仕方」で授業が変わる
2.3. 学期ごとの目標設定
2.3.1. 目標設定のポイント1 夢をもち、逆算せよ
2.3.2. 目標設定のポイント2 教科書を分析せよ
4技能の到達度を測るには、ペーパーテストでReading、Listening、Writingの力を調べ、インタビューテストやスピーチなどでSpeaking、Listening、Writingの力を測ります。ペーパーテストに関しては、前述の名著をご参照ください。
インタビューテストなどの評価は、極端な言い方をすると、できたら1点、できなかったら0点というディジタル方式をとります。そうすると、生徒はできるようになるまで練習を続け、テストに繰り返しチャレンジします。一発勝負のテストで、到達度が70%だったという生徒は、間違った30%分をやり直さないことがありますので、100%になったときに初めて点数を与えるというやり方です。
なお、スピーチに関しては、スピーカーは採点しません。全員の前で発表するのは大きなプレッシャーがあり、その生徒が自信を持ってみんなの前でスピーチができるかどうかは、教師の指導にかかっています。十分な指導をせず、生徒をクラスメートの前に立たせ、そのスピーチを採点するなどということは、教育的とは言えません。スピーチでは、スピーカーを育てるのは教師の責務であり、それを聞いている生徒がどれぐらい理解できるかをチェックします。スピーチの内容に関して、具体的に英語で感想を書かせるのです。そして、感想を英語で書けるようにするのが、教師の仕事です。
私が中学校に勤務している時は、中3の2学期から3学期にかけて、「My Treasure」というテーマで全員にスピーチをさせていましたが、素晴らしいスピーチが連続し、それに対するリスナーの感想も素晴らしく、採点する気持ちがなくなってしまった経験があります。スピーチを通して心のやりとりをしている生徒を見ていたら、感動してしまいました。そして、1つ1つのスピーチを評価するのはやめて、期末テストにスピーチを理解するという問題を入れて、そこで到達度を測りました。これらのスピーチは全て録画してあり、私の宝物となっています。