Category A: 意味・構造理解
Category B: 暗記
Category C: 入れ替え(パターンプラクティス)
Category D: 初めて聞くこと(L)/読むこと(R)を理解する
頭の中の言葉を言う(S)/書く(W)
中学校の教科書は、「キーセンテンス」と「本文と新出語句」という2つの構成になっています。授業では、その意味・構造がわかること(Category A)に多くの時間を費やしています。しかし、それらのキーセンテンスや本文を体に取り込み(Category B, C)、最後は応用できるようになること(Category D)を目指しています。では、ワークブックはどの段階に位置づけるのでしょうか。
英語学習で一番喜びを感じるのは、Category Dの活動ができたときです。ワークブックは主にCategory A〜Cで占められており、ワークブックをやった結果、どんなCategory Dの活動ができるようになるかを教師が提示できる必要があります。それは、ALTとの1対1の活動であり、他社の教科書を読むことであり、あるいはワークブックのCategory Dの学習(長文など)かもしれません。
市販のワークブックに限らず、本当に生徒にとって楽しく、知的で、やり甲斐があり、それをやった結果何かができるようになった、という教材を用意するのが教員の仕事です。そして、家庭で続きをやりたいと思わせるのがいい授業です。面白くない、やっても力が伸びているという実感がない勉強は長続きしませんし、それを強制されると先生とその教科が嫌いになります。
私は、世の中の多くの教科書や問題集が学習者心理を反映されたものとなっていないと思い、毎日現場で生徒の反応をつぶさに観察し、さまざまな教材を作ったり、教科書の創造的な使用法を開発してきました。今、大学の一般教養の英語でも、それを続けています。
よりよい教材を作るためには、授業にパソコンを持って行くといいですよ。授業中に生徒の反応を見て、教材を修正したり、作り直したりするためです。生徒がすぐ近くで、「そこをこう直して。」とリクエストしてくれるからこそ、生徒に寄り添った教材が生まれました。私が作った市販の教材は、全て生徒のアイディアが盛り込んであります。
まず最初に、先生がお使いのワークブックや教材、果ては教科書までが、生徒に取ってやりたくなるような魅力的なものかを考えてください。当然のようにやっていることが果たして正しいかどうか考えてみたときに、新しい発想が生まれます。そして、もし魅力的でなければ、それに命を吹き込む工夫をしたり、別な教材に変えられたり、先生ご自身が作られたりしてみてください。中学校は、教科書は選べませんが、副教材は選べます。楽しくて、知的で、生徒が力を伸ばす副教材を選んでください。