授業作りは、例えば中学校であれば、中3の卒業時にどんなことができるようになっていてほしいかという、到達目標を設定することから始まります。(このホームページ参照)そして、それらの目標が達成されたかどうかを測るテストを作ることが第2歩目です。ペーパーテストでは、読む、聞く、書くことを測り、話すことはインタビューテストなどで測ります。
私の場合、島根大学の築道和明先生(現広島大学)の研究室で毎月開催されていた勉強会に10年以上参加しましたが、テスト作りも築道先生にいろいろご指導いただきました。ですから、中3の3学期の期末テストから作り始め、逆算して9学期分の期末テストのフォーマットを作り、改良を重ねてきました。まだまだ満足がいくものはできていませんが、到達目標にあわせたテストのフォーマットを持つことで、目標がはっきりしましたし、授業を逆算して組み立てることができるようになりました。
学年の学力を比較するときは、等質のテストを実施することが必須です。そのためには、同じフォーマットで同じ語いレベルの問題を作ることが大切であり、その結果を比較することで学力の比較をすることができます。また、外部テストでも、大手企業のテストはたくさんの人々が関わり、専門的に研究しながら作成したものですので、信頼性があります。特に、IRT(Item
Response Theory)を利用したテストは信頼性が高く、それらのテストが全国レベルで展開されている場合は、学年別の学力比較が容易です。
また、コミュニカティブな授業をしていて、文法や語法中心のテストを受けると、英語が使える生徒でも形式や問題の意図がわからず戸惑い、芳しい成績が得られないことがあります。その意味で、文法、語法、談話力などを総合した、実践的コミュニケーション能力を4技能に渡って測ることができる外部テストを受けることは、とても大切なことだと思います。私は、いくら努力しても、専門家が作ったテストほど自分のテストを信頼することはできませんでしたので、積極的に外部テストを受けるよう、生徒に勧めました。
私の経験では、学年の差はあまり大きくありません。むしろ、教え方が妥当であったかどうかで成績が変わると思います。他教科はよくなくても、英語だけよいという学年がありましたが、彼らは何らかの理由で小学校時代に熱心に学習しなかっただけであり、英語の学力は例年と変わりませんでした。小学校での借金がほとんどない英語は、得な教科だと思います。小学校英語が導入されても、週1時間という授業時数と学習内容を考えれば、他教科ほどの個人差は出ないと思います。