田尻先生
Q.5
音読指導には様々な方法があり、生徒たちに教科書本文の内容を無理なくintakeさせようと、試行錯誤しています。以前田尻先生にお伺いしたとき、先生は生徒に「9種類の音読」を薦められていたそうですね。その具体的な方法と段階(順番)を教えていただけないでしょうか?  
 音読にはさまざまな手法がありますし、たくさんの書籍が出ています。授業でも、ペアで起立して背中をあわせてダイアログを音読したり、教科書本文の一部を隠して音読させたり、ジェスチャーを混ぜて音読させるなど、いろいろな方法があります。私は以下のような流れで音読練習をさせています。
1. Mimicking the model reading by the instructor or a CD
2. Overlapping
3. Buzz reading
4. Timed reading
5. Read and Look up
6. Shadowing
7. Individual reading practice and shadowing
8. Blanked text reading

2のoverlappingはテキストを手に持ち、CDと同時に読んでいきます。発音やイントネーション、スピードなどを確認するための活動です。4のTimed readingは、あらかじめCDの読みの時間を計っておき、その時間通りにぴったり終わるようにテキストを音読します。その際、教師はストップウォッチで設定された時間を計り、その時間が来たときにStop!と叫び、だれがぴったり終わったかを競わせます。あまり速く読むと発音がいい加減になってしまいますので、この活動を取り入れています。7の部分は、個別にヘッドホンでCDを聞きながら音読練習するものです。ここでは、他の活動を入れることもできます。8のBlanked text readingは、本文から数語を抜き( )を入れておき、生徒はそこで省略されている語を入れながら音読をします。このとき、答えを書き込むことは禁止です。( )は@名詞だけを抜いたもの、A動詞だけを抜いたもの、B形容詞だけを抜いたもの、C前置詞だけを抜いたもの、D冠詞だけを抜いたものなど、同じ品詞で統一しておくと、生徒は各品詞の特徴を感じ始めます。また、( )をつけずに数語を抜いたものや不要な語を挿入しておき、それらをとばして音読するなど、バリエーションがあります。これらの活動に関しては、神奈川大学の久保野雅史先生や埼玉大学の靜哲人先生の研修会に参加されたり、ご著書などを参考にされたりするとよいでしょう。

 最近の教科書はモノローグが減っていますが、実はダイアログやカンバセーションよりモノローグ、特に1人称のモノローグはいろいろな使い方ができて便利です。8までの活動が終わったら、以下のような音読練習に入ります。
9. 2nd person reading
10. 3rd person reading
11. Q&A by Students

9の2nd person readingでは、主語が1人称の場合、ペアの一方がテキストを見て1文ずつ音読し、もう一方がすかさずそれを2人称に替えて復唱します。その場合、テキストは見せません。3rd person readingはその応用です。そして、最後に一方がテキストの1文につき1つずつ疑問文を作り、もう一方がそれに答えることでテキストを音読することになるという活動です。
 このように、教科書は音読のバリエーションを加えると楽しくドリルができる教材となり、私の生徒はこれらの音読をとても楽しみながら力をつけていきました。


 
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