私は1年の前半は教科書を使いません。「これは学校ですか?はい、そうです。あれも学校ですか?いいえ、あれは図書館です。」というような会話にはテーマがなく、文法指導を念頭に置き、意図的に作った対話が中心だからです。
私はコミュニケーションはスキルの上に成り立つという考え方をしていますので、その意味で1年の教科書はドリルが不足していると思います。ですから、副教材を使ってたっぷり文型ドリルをしてから教科書に入ります。すると、教科書の前半は1週間もかからないうちに生徒は読み切ってしまいます。教科書の命は本文であり、それをしっかりと理解し、咀嚼し、内容について発展的なアウトプット活動をするのは1年の後半からです。
教科書の使い方は様々なバリエーションがあります。いかに教科書本文に命を吹き込むかは我々教師の腕の見せ所です。インターネットや書籍、テレビの録画、DVD、CDなどを使って、教科書の内容を深めるための周辺情報を用意することを楽しんでください。教科書は食材に過ぎず、それをどんな調味料を使い、どのように調理するかは、それぞれの先生に委ねられているのです。1人ひとりが同じ食材を使って違う料理を作って競うテレビ番組は、面白いですよね。
いずれにしても、語学は「理解→習熟→習得」という流れを大切にしないといけませんので、従来型の「理解させるだけで習熟させない授業」は改善していきたいものです。 |