田尻先生
Q.12 同僚との指導、評価の共有について
いつも参考にさせていただいております。現在、高等学校で教員をしております。田尻先生のティーチャー制度や教え合い学習、インタビューテストに大変感銘を受けまして、自身の英語表現の授業にぜひ導入したいと考えております。
もし、インタビューテストの結果を評価に反映させることができれば、より生徒の心に火をつけることができるのではないかと考えているのですが、同じ学年を持つ同僚の先生に、インタビューテストに理解を示してもらえないのが現状です(私の説明力の無さも原因かもしれまんが…)。私と同僚のクラスの両方でインタビューテストを実施できない場合、インタビューテストの結果を評価に入れるのは難しいのかなと悩んでおります。田尻先生は1つの学年を複数の教員で持つ場合、どのように同僚の理解を得ておられましたか?また、同僚と共通理解を持っておかなければいけない部分はどこだと考えておられますか?
 

大学入試改革は今後着実に進められていくものと思われます。スピーキングテストが大学入試に導入されれば、授業でも必ず扱うことになります。しかし、今はまだスピーキングテストは大学入試の中に位置づけられていませんので、授業では現行の入試に対応する力をつけることに注力する先生が多いことは自然なことだと思われます。インタビューテストは価値のある活動ですが、それを成績に入れる場合、おっしゃるとおりまずは学年担当の先生方のコンセンサスを得ることが必要です。

そのためには、まず先生ご自身が担当されるクラスの成績が高くなければなりません。好成績を収めると、先生方はその秘訣を知りたくなります。そこでインタビューテストがその好成績をもたらしていることを理解されれば、先生方もインタビューテストを取り入れられる可能性が出てきます。

私がお勧めするのは、教科書本文に関するインタビューテストです。本文の内容をサマライズさせたり、本文を使って生徒自身がQ&Aをさせたりすると教科書本文が定着しますし、応用力もつきますので、定期テストの平均点が向上します。私は大学の教養英語のリーディングクラスでは、前期に語順表指さし音読をたっぷり行って英文構造を体得させ、後期は教科書本文を使ってペアでQ&Aをさせていますが、学生は「こんなに頭を使う授業は他にない」と言います。そして、こういうトレーニングをやって初めて会話力がつくことを実感します。教科書から離れたインタビューテストをすることは、多くの先生方が無駄な時間ではないかと危惧される可能性があるので、まずはこのような教科書本文を使ったインタビューテストをさせてはいかがでしょうか。

インタビューテストの価値を高めるには、採点法の確立が必要です。生徒が使用している文の構造が単文ばかりでなく、複文や後置修飾を多用している、仮定法と直説法を使い分けている、付帯状況のwithを使っている、あるいはその直後に句や節が続いている、質問に対して適切に答えている、疑問文を使っているなど、論理性や内容を含め、細部にわたって採点基準を決めなければなりません。そして、その採点法を生徒に明らかにすることによって、生徒がそれらの観点に留意してポイントをたくさん取ろうとするという流れになれば、学力向上が望めます。

インタビューテストも、それぞれの段階の狙いがなければなりません。そして、やりっぱなしではなく、毎回録画して反省会をしなければ英語力は伸びません。それらを全て考慮した上でインタビューテストのシステムを確立されたのち、その説明をされれば、先生方もインタビューテストで学力が向上するという期待感を持たれると思われます。

複数の教員で1つの学年を担当する場合は、春休みに1学期の、夏休みに2学期の、冬休みに3学期の定期テストのフォーマットと練習問題を作成して、考査直前に語句を決定するというシステムを導入されることをお勧めいたします。そうすると、ゴールを共有して手法は個性を反映することができます。手法を合わせる、同じプリントを使うというやり方は、先生方の個性を潰します。それぞれが同じ目標に向かってそれぞれが信じる手法を採り、適宜現時点での到達度を共有すると、お互いの手法に興味が湧き、情報交換が始まります。結局は、教員も内発的動機付けがなされてこそ、新しいチャレンジに向かおうという意欲が出てくるのではないでしょうか。

 
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