現在では小学3年から英語学習を始めますが、小学校における4年間の英語学習はwant toとwould like toを除けばほとんどが中1の内容です。過去形も学習しますが、ほとんど定着していません。
2020年度までに使われてきた各教科書を見ると、中1では以下のような事項が扱われてきました。
1. 英語らしい発音
2. 文字と発音の関連(フォニックス)
3. be動詞を含む文の肯定文、否定文、yes / no疑問文とその答え方
4. 一般動詞を含む文の肯定文、否定文、yes / no疑問文とその答え方
5. 人称代名詞(主格、所有格、目的格、所有代名詞)
6. 指示代名詞
7. 冠詞
8. 単数形と複数形
9. 可算名詞と不可算名詞
10. 疑問詞(who, what, how, where, when, why, whose)と疑問詞句(what+名詞、how+形容詞/副詞)を含む文の肯定文、否定文、疑問文とその答え方
11. 前置詞句
12. 副詞と副詞句
13. 時制(単純現在形と現在進行形、単純過去形)
14. 助動詞can
15. 英語の語順
このように、中1では英語の基礎を学習し、英語らしい音を身に付け、それを文字化できる力と、単文が作れて操作できるようになることが大きな目標となります。
英語は積み上げの教科であり、中1の内容を習得していない生徒は、中2以降の英語を習得することは困難です。中2では複文と不定詞、比較が大きな学習ポイントとなり、中3では後置修飾が山場となりますが、これらの理解・運用は全て中1の学習内容を理解・運用できることが前提となるからです。
私は英文構造を知り、それぞれのセンスグループではどのような語句が使われるのかということを生徒に知ってほしくて、Talk and Talk(正進社)を作りました。多くの先生方がTalk and Talkはスピーキングの教材だと思っておられますが、あれは最初にライティングさせ、修正させ、正しくなったものを音読し、それからインタビューテストをするという流れで使います。ですから、今回Write and Talk and Talkという名前でリニューアルいたしました。
私の場合、中1ではTalk and Talkを使って徹底的にドリルをさせて生徒に英語の基礎力をつけてやり、その結果どれぐらい教科書の内容を所見で理解できるかを試し、その後教科書本文などを使って意味を音声化する音読をさせました。
ですから、教科書本文を書かせることはしていません。音読し、暗唱できるレベルまで来たら一度書いてみて、書けなかった語句やスペルミスした語句のみを書く練習をするよう促していました。
音読に関しては、多くの学校で文字を音声化する音読しか行われていませんが、文字と音と意味を三位一体で覚えてこそ単語が覚えられますし、それに英文構造を理解して四位一体にならないと文単位で理解したり運用できたりするようにはなりませんので、語順表指さし音読をなさることをお勧めいたします。
文法用語は極力使わないようにしていましたが、文法用語をよくかみしめるととても面白いことに気がつき、生徒にもそれを教えるようになりました。また、定期試験前の部活動停止期間の授業では、試験範囲の語句クイズをたくさんしましたが、その際に品詞を英語で言うとヒントになり、生徒も品詞を表す語句を覚えます。ヒントですから、ネガティブな印象は持ちません。ですから、文法用語は知っていて損はないと思うようになりました。それらを覚えることが目的になればよくないでしょうが、文法用語を知ることでプラスになることがあるという経験をすれば、生徒は文法用語を否定しないことも分かりました。
中1の英語をどれぐらい理解しているかがその後の英語学習の成否を決めますので、まずは教師が中1のwhat to teachとhow to make students master themについて確認されることをお勧めいたします。