英語はスポーツと同じです。監督が練習の内容や方法を長々と解説し、選手がそれをノートに写すのに多くの時間を割く、というやり方では選手は伸びません。選手にどんどん練習させ、監督やコーチが一人ずつ選手を観察し、できているところはほめてのせ、できていないところはその原因を究明し、それができるようになるためのアドバイスを与える。そして選手はそのアドバイスを心に留めて練習を続け、また監督やコーチに見てもらう。それがスポーツの指導です。
その練習が、今までは週3回しかできませんでしたが、今年度から週4日できるようになりました。練習日が増えれば、選手は練習量が増えますし、監督・コーチに個別にアドバイスをもらったり、自分の伸びを監督・コーチに確認してもらったりするチャンスが増えます。
つまり、教え込み型の先生にとっては授業が1コマ増えるたびに用意しないといけないことが増えるのでしょうが、生徒をどんどん練習させ、練習内容と伸びを確認するというスタイルの授業をされる先生にとっては、より時間をかけて個々の生徒を見てやれるチャンスが増えると捉えられます。私の生徒だったら、Can-do listの項目にチャレンジする機会が増え、点数を稼いで成績が上がると考えて喜ぶと思います。
また、指導要領の改訂により、文法事項はほとんど増えていませんが、教科書で扱う語句は900から1200に増えました。それに伴い教科書の内容が増えましたので、1時間の増加分は自然にそこに充てられるのではないでしょうか。
英語にとって、年間指導計画はさして大切ではありません。理科や社会は単現が独立しており、いわば単現が横並びになっている教科ですが、英語や数学は上に積み上げていく教科です。基礎ができていなければ、上に積んでもすぐに崩れます。したがって、土台から1つずつ上に積み上げ、崩れたらまたそこから積み直すという作業をしなければなりません。いつ何を教えるか(年間指導計画)より、いつまでにどんなことができるようになっていなければならないか(到達目標)の方が大切です。ですから、このウェブサイトにも到達目標の例は載せていますが、年間指導計画は載せていません。そして、その目標に到達したかどうかを測るペーパーテスト(読む、書く、聞く)やインタビューテスト(聞く、話す)を学年担当者で相談して学期前の長期休暇中に作成しておき、そのテストでよい点が取れるよう、それぞれの教員の個性ややり方を生かして学期の授業を工夫するというのが、授業作成の流れです。到達目標の設定と定期テストの共有化を早めにしておけば、週時数が1つ増えるというのは、悩みではなく恩恵になるはずです。
ちなみに、私が研究主任をしていたときは、先生方には年間指導計画ではなく、到達目標を出していただくようお願いしていました。そして、定期テストが各目標の到達度を測るのに適切なものであるかどうかを確認していただきました。年間指導計画は教科書の指導書に添付されているCD-ROMに入っていますので、それを利用されるといいと思います。