まず、研修会ですが、私は「語学教育研究所(語研)」と「英語授業研究学会(英授研)」の会員です。「財団法人語学教育研究所」(The Institute for Research in Language Teaching)は、もともと文部省内に設立された「英語教授研究所」 (The Institute for Research in English Teaching)という財団法人が前身であり、ダイレクト・メソッドや、オーラル・イントロダクションなどで有名な研究団体です。1923年(大正12年)に当時の文部省英語教授顧問ハロルド・パーマー博士を初代所長として設立され、1949年にパーマー博士が亡くなられたのを機に、パーマー博士の功績を称え、外国語教育の実践に優れた業績をあげた個人、学校、団体に対して1951年からパーマー賞が贈呈されています。
「英語授業研究学会」は、素晴らしい実践家の講義や示範授業、新進気鋭の若手の教員による研究発表や模擬授業、そして生徒指導の悩みなどの共有と解決策の模索、全国の英語教育に関する情報伝達など、あらゆる範囲をカバーし、「語学教育研究所」、「ELEC同友会英語教育学会」などと並び、最も会員が多い研究学会の一つです。関東地区と関西地区で月例会が開かれていますし、春期、秋期、夏期に全国大会や合宿などが開催され、たくさんの先生方が参加されています。
文法説明に関しては、たくさんの著書が出ていますので、参考にしてください。拙著『英文法 これが最後のやり直し!』(DHC)も、英文法の基礎をどう身につけるかを詳述していますので、ご参考までに。
板書に関しては、気をつけるべきことがあります。まず、板書の目的は、
(ア)教師が重要だと思う情報を伝達する
(プリントで済ますことができる。
写させたものを後で使わないと意味がない)
(イ)解答・解法を共有する
(プリントで済ますことができるが、答えにたどり着くステップを
一つずつ視覚的に板書で確認することには価値がある)
(ウ)児童生徒の意見を整理し、次の発想を促す
(プリントでは済ませられない)
などです。このうち、英語で圧倒的に多いのは、(ア)の目的の板書です。これは、プリントでも参考書でもガイドブックでも代わりが効きますので、なるべくしない方が時間を節約できます。
板書について勉強するのなら、(イ)と(ウ)をやるべきです。それは、他教科の先生からも学べます。(イ)は英語では和文英訳などがありますが、数学や理科のある分野の授業を見せてもらうと参考になります。(ウ)は国語や理科の実験仮説などで見られますので、校内研修が十分できます。残念ながら英語の研修会で見られる板書指導は、ほとんどが(ア)ですので、私はお薦めできません。
なお私は、板書の時間がもったいないと、生徒がノートに写した板書を後で活用しなければ意味がないと思って、3年間分の板書を1冊の冊子にまとめ、毎日参照させました。ただ、B5版で表裏印刷してとじ込むのが大変でしたし、生徒がよく「ナップサックの底でくしゃくしゃになったので、新しいものをください」と頼んできましたので、製本屋さんにお願いしてハードカバーをつけていたものが、現在では『自己表現 お助けブック』(教育出版)という本になっています。
先生は大阪の私学にお勤めだということですので、「英語授業研究学会」をのぞいてみられてはどうでしょうか。関西支部の研修会は、大阪教育大学附属天王寺中・高等学校などで開催されています。
英語授業研究学会WEBSITE:http://www.eijukenweb.com/