田尻先生
Q.1
少人数学級についての質問です。本校では、1年生の英語全クラス6クラス(各クラス38名)を12クラスに分け、ハーフサイズで授業を行うという形を導入しました。しかし、英語教師4名が関わり、教科部会でも各先生それぞれの先生の教え方の違いで副教材の選定にも苦労しました。なんとかTalk&Talk Lightを導入することに同意してもらいましたが、この教材の主旨を理解し、うまく使ってもらえるかどうかが不安です。また、各クラスの学力差?(教師の指導力の差?)をなくすために、定期テストごとに、そのクラスの担当教師が変わるという形をとっています。個人的には1年間、同じ生徒を任せてもらうほうが、リーダーを作り、教え合う集団を作りやすいと思うのですが、難しいですね。少人数クラスのメリットを田尻先生はどのようにお考えですか?  
 少人数学級の利点は、個人、ペア、グループなどの対応がより短時間でできることです。したがって、教師が全体指導をしている時間が多ければ、少人数学級のメリットはその分だけ減ることになります。基本的に英語の授業は1対1対応してこそ力を伸ばせますので、その意味で少人数学級はメリットが大きいと思います。40人の学級でも、20人の学級でも、意見の多様性は大きくは変わりません。以前、1クラス20人弱の学校に勤務したことがありましたが、ディスカッションをすると面白く、また全員が意見を言えるようになるための援助が手厚くできました。その点、40人学級では全員を見ることができず、ティーチャー制度とペア活動を多用して、先生を増やすことで対応してきました。
学期ごとに担任が替わるということは大胆なチャレンジです。生徒も保護者も、先生の比較をするからです。Talk and Talkは、家庭学習の友です。授業でやり方を知り、数問体験し、残りは家庭でドリルをしてきます。それを教師がチェックし、間違いに気づかせ、自分で修正させ、正しく書き直した英文を音読をさせ、最終的には教師と1対1でインタビューテストをします。つまり、生徒が英語の表現や語順に習熟するための教材ですので、これを使うと生徒が中心の授業になります。先生がイニシアティブを取るのではなく、学習者である生徒が徹底的にドリルをするのです。
そういう授業をすれば、先生による差というものはあまり出てきません。教師の仕事は、生徒の間違いを指摘してやることです。間違いを知り、修正することによって、生徒の力は伸びるからです。先生による教え方の違いが見えるのは、生徒が間違ったときの説明の仕方です。生徒の声に耳を傾け、自分よりうまい説明をする先生がいたら、教えを請うといいでしょう。
要は、複数の担当者が同じ目標に向かって進むことであり、リーダーを協力して育てていけばいいのです。また、早めにテストのフォーマットを相談して作り共有しておくことも有効です。同じ目標に向かって複数の教員が切磋琢磨し競い合い、生徒を伸ばす。そして、テスト直前に担当者全員で相談して問題を作成し、その到達度を見れば、平均点の差によって次のステップが見えてきます。
今後の進展をお知らせいただくと喜びます。「プロフェッショナル」とは、与えられた環境で、ベストの方法を見つけ、楽しむことができる人だと思います。(NHK総合テレビ『プロフェッショナル 仕事の流儀』のスタジオインタビューで、2つ目に言った内容です。放送では、最初に言ったものが紹介されました。)
 
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