英語を家庭でどう学習したらいいかは、指導が必要です。私は中1の5月に、まるまる1ヶ月使って授業中に家庭学習を体験させました。具体的な手順は以下の通りです。
@「Talk and Talk」(正進社)を開かせ、男子がA、女子がBとなり、グループの中で対話練習をさせます。英語で口頭発表した後、日本語訳をさせます。
中1は言葉に対していい加減な子がたくさんいるので、あえて日本語訳をさせて、意味を取れていたかを確認します。以下のようなダイアログでは、文が短いので「和訳をすべきか、せざるべきか」というレベルではないですし、日本語訳をしてこそ両言語の違いを感じるからです。
A: You aren’t a bad teacher.
B: Yes, I am. I’m a very bad teacher.
A: No, you aren’t.
B: Yes, I am!
A: No, you aren’t. You are a good teacher.
このダイアログは、Yes, I am. と No, you aren’t. の直後に省略された言葉を書き込ませた時点で、初めて理解します。しかし、まだ不安ですので日本語訳をつけさせるわけです。
A: あなたは悪い先生ではない。
B: いや、私は悪い先生です。私はとても悪い先生です。
A: いや、あなたは悪い先生ではない。
B: いや、私は悪い先生です。
A: いや、あなたはいい先生です。あなたはとてもいい先生です。
A指定した秒数で言えたら次の問題に移り、男女の役割を交代させます。
3〜4問やってみて、やり方がわかった時点でノートに第1問から全て書かせます。
Bできなかった分は家庭学習になり、全て正解を書き終えた時点で、「インタビューテスト挑戦チケット」を渡します。
Cインタビューテストでは、個人で一人二役をやり、指定された時間内に英日文両方とも言い終えたら、点数を与えます。
私は常々、生徒のドリル不足を懸念していましたので、「Talk and Talk」を書きました。「Talk and Talk」は家庭学習用のキーセンテンス・ドリルブックです。教科書本文は、主に音読の素材として使っていました。教科書を使った家庭学習としては、構造分析や筆写、語句入れ替え、英問英答などをしていました。
私の手元には生徒に借りてきた自学帳がたくさんありますが、彼らの3年間の家庭学習は、「Talk and Talk」ドリルと、ラスト・センテンス・ディクテーションで使う教科書本文の筆写、「Talk and Talk Book 2, 3」に載っているさまざまなライティング課題の下書き、日記、エッセイなどが中心です。アンケートで「どういうときに家庭学習を頑張れましたか」という設問をしたところ、
1位は「力がつくと実感できる」
2位は「やり方がわかったから続きができそうと思った」
3位が「楽しいから、面白いから」でした。
中1で徹底的にドリルをし、2年生1学期に徹底的に英文を書かせて語順を身につけ、2学期に接続詞や不定詞をたくさん使わせ、3学期に比較表現を使ってディスカッションをする、そして3年では後置修飾を使いながら自分を表現するというのが、私の英語授業の到達目標でした。「3年卒業時にはこういう活動とこういうテスト」、「2年修了時にはこういう活動とこういうテスト」、「1年修了時にはこういう活動とこういうテスト」ということが決まっていてこそ、力がつく家庭学習のテーマを与えることができます。そうでない場合は、教科書準拠のドリルか、単語練習しか思いつかないと思います。
部活動では、最後の大会でどこまで行きたいか、どんな試合がしたいか、そのためにはどんな練習をすればいいかを、選手に考えさせることが必要です。目標を持ち、こうすれば自分の技術を高められると思った選手は、家に帰ってからも練習を続けます。家庭学習も同じではないでしょうか。