田尻先生
Q.13
田尻先生の達成目標を参考に今年の目標を立てています。WPM45(150words)とはどのような意味ですか。教えてください。黙読ですか、音読ですか、内容理解まで含みますか?  

 WPMはwords per minuteの頭文字で、1分間に何語読めるかという数値を表しています。例えば、ある生徒が300語の読み物を200秒で読んだとします。

「読み物の語数(300)÷読み切るのにかかった秒数(200)×60」=90

この生徒は、1分に90語読むスピードがあるということになります。
 次に、この後で5問ほど本文の内容理解を確認する問題をやったとします。その生徒の正解数が4問だったとすると、5問中4問正解なので正解率は80%だったということになります。それを90語にかけると、90×0.8=72という数値が出ます。これが、WPMです。
「文章の語数÷読み切るのにかかった秒数×60」では、読むスピードを測ります。しかし、読むのが速いだけで内容を理解していなければ意味がありません。ですから、その数値に正解率をかけてはじき出された数値が、「あなたは1分間にこれだけの単語を『理解』していますよ」ということを示すことになるのです。
 高校入試の長文は、300語前後が多く、300語を300秒で読めば、長文を5分で読むことになります。その後の問題を5分で解くことができれば、入試の長文問題が10分で終わります。私はリーディングに関しては、これを中3の3学期の目標にしていました。そして、その数値は学年が上がるにつれて高く設定していましたので、その前段階ではWPM45というのを目標にする時期もあったのです。
 ここで問題になるのが、読み物の難易度です。私はどうしてもこの判断が勘でしかできませんでしたので、GTEC for STUDENTSのようにIRT(Item Response Theory:項目応答理論)を使って、各問題の難易度をはじき出しているテストを利用していました。
また、私は授業を以下の4つの段階に分けていました。

Category A: 意味・構造理解
Category B: 暗記
Category C: 語句入れ替え練習(パターン・プラクティス)
Category D: 応用(4技能)

L:初めて聞いたことを理解する
R:初めて読んだものを理解する
S:頭の中にあることを英語で言う
W:頭の中にあることを英語で書く

 我々は、生徒がCategory Dの活動ができるようになることを願って、日々授業をしています。リーディングに関しては、WPMの活動はCategory Dになります。ですから、たくさんの読み物を読ませて、WPMを記録していきましたが、生徒はその数値をとても気にします。数値が低い生徒は、語いサイズが小さいか、読んでいるところばかり集中して読んだところを忘れてしまうかが大きな要因となっていました。前者には、語句のリストを何度も音読したりクイズ合戦することを勧めました。後者には、代名詞が出るたびにもとの名詞に直して音読するトレーニングをさせました。
 授業では、習熟のトレーニングをたっぷりした後、習得したかどうかを確かめ、一人ひとりの問題点を見つけてそれぞれに合ったアドバイスをしてこそ、生徒は伸びます。WPMは、その意味で欠かせない活動なのです。

 
前の質問へ 質問一覧へ 次の質問へ
ページの先頭へ
Copyright (C)2006 Benesse Corporation All rights reserved. Supported by Benesse Corporation.