田尻先生
Q.12
どのように、どこから自分の授業を分析して、改善していけばよいでしょうか?10年以上も指導を行っていますが、毎年毎年悩みます。また、転勤先で生徒や地域は変わっているのに、教え方が変わらないことによって、うまくいかないことが多々あります。どのようにしていけばよいのか、手がかりをお願いします。  

 私は教員になって12年たった頃、本格的な授業改革に着手しました。日頃から生徒が、「教科書がおもしろくない」と言っていたからです。
 まず、一旦教科書から離れてみようと思いました。しかし、高校入試のことを考えると、教科書を使わないわけにはいきません。そこで私は、教科書を分析してみました。何を教えないといけないか、何が重要であるかを確認するためです。それらをリストアップして一覧表にし、教科書を使わずALTと相談してさまざまな活動をやる中で、「教えた表現」をマーカーで塗っていきました。そうすることで、教科書は使わなくとも、教科書の語句や表現は教えるという状況を作り出したのです。
 また、大部分の生徒がマスターしたと思ったものは、丸で囲んでいきました。すると、「教科書を何ページまで進めたか」という発想から、「生徒は何をどれぐらいマスターしたか」という部分に視点が変わりました。つまり、「何を教えたか」を項目立てすることにより、「それがどれぐらい定着したか」ということを強く考えるようになったのです。
 当時のALTは次々とおもしろいことを考えてきましたので、生徒は積極的に授業に参加するようになり、生徒はALTと英語で話したいがために、授業や家庭での英語学習に力を入れるようになりました。ALTの仕事は、新出事項を導入するために劇をしたり、全体の前で発音のモデルを示したり、教科書を音読するのが中心ではなく、生徒が何ができるようになったかを1対1で確認し、不足したところを指摘するという役割に変わったのです。これは効きました。生徒は1対1の対話では、白紙の答案を出すことはできないからです。そして、ALTと1対1で会話をして通じる喜びは、私の生徒の学習意欲を引き出しました。授業改革は、教科書を知ることと、ALTに最終チェックをしてもらうことで、大きく前に進みました。
 また、自学のシステムの導入も大きかったです。生徒は日々何を勉強すればよいかを知るようになりましたし、自学帳に書いてある私やALTのコメントを読むことを励みにして、家庭学習を続けました。そして、初めて3年間教えた生徒たちが公立高校の入試で平均80点(試算)を超えるようになったのです。
 それ以来、3つの中学校に勤務しましたが、どの学校も自学は受け入れられましたし、どの学校も成績は優秀でした。漁師町の100人ほどの学校でも、1000人を超える大規模校でも、50人ほどの山間の学校でも、400人ほどの中規模校でも、自学は生徒の心をつかみ、学力を高めてくれたのです。
 教師になって16年が過ぎたとき、次の大きな授業改革のきっかけがありました。あるとき、生徒が私よりはるかに深く教科書を読んだのです。行間を読み、情景を想像し、登場人物の気持ちや性格すら読み抜いたことは、私にとって大きな衝撃でした。彼らは、教科書を「読書」していたのです。
 この出来事以来、私は教科書本文をどういかすかということに、時間と労力を費やすようになりました。今はだいぶうまくなったと思います。大学に来てからも、リーディングの授業は好評です。リーディングの授業での命は、「いい発問」です。

1.まず、生徒に考えさせる(読ませる、聞かせる、書かせる、話させる)
2.生徒同士でシェアさせる
3.教師がヒントや答えを言う
4.わからないところがある生徒に説明する

 この方法だと、生徒の頭と心が動くようになります。考える前に教師が説明したり、わかっている生徒にも我慢して説明を聞かせるのではなく、わかった生徒が友だちを助けるというシステムに変えると、生徒は心身ともに動き始めます。つまり、少し授業の手順を変えればよいのです。
 確かに生徒は地域差や学年による違いがありますが、本質的には一緒です。大学に来てみて思うのは、大学生も中学生も変わらないということです。頭と心が動くと時間がたつのを忘れ、夢中になるということです。中には、「90分の授業が10分に感じられた」と無記名のアンケートに書いてくれた学生も何人かいました。
 違いが生まれ、発見がある授業を創りましょう。

 
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