田尻先生
Q.5
私も田尻先生のような楽しい授業を高校でも取り入れたいと考えていますが、高校は中学と異なり、生徒間の英語のレベルに差があると感じています。(中学の時点で英語に対して苦手なイメージを持ち、そのまま高校へ来る子や、基礎をきちんと身につけて、すでに発展段階にいる子など。)そんな生徒間の差を埋める工夫があったら教えてください。  

  「高校は中学と異なり」とありますが、それは誤解です。中学校で学力差がつき、それによって行く高校が変わるのが現実ですから、高校の方が学力が近い生徒たちが集まっています。ただし、人口が多くない地方の高校では、幅広い学力の生徒が1つの高校に集まってくることがあります。

  ご質問の件ですが、そもそも、生徒間での学力差を埋める必要などあるのでしょうか。それぞれが昨日の自分よりステップアップすることが大切ですので、学力差は縮まらないでも、それぞれが伸びていけばよいのではないでしょうか。

  語学は一斉授業の時間を極力減らして、個々の生徒に対応していかなければなりません。スポーツや音楽などと同じで、一人ひとりが練習し、それを指導者が見て回り、できないことができるようになるためのアドバイスを与えたり、間違った練習を訂正したりするのが語学です。となると、一人ひとりの課題は違うわけであり、それに対応するのが教師の仕事です。

  まずは、それぞれの生徒が伸びたいと願うことが授業の第一歩です。それをやらずに授業を開始すると、生徒は無目的に教室に座り、何となく教師の説明を聞き、板書を写し、チャイムとともに片付けを始めます。

  一方、better than yesterday の意識を持たせ、自分の可能性を広げるために勉強をすることなどを確認させ、伸びていく楽しさ、できなかったことができるようになることの嬉しさなどを一緒に味わおうと呼びかけたうえで、student-centered な授業をすれば、努力し始める生徒が増えてきます。

  同じ教材を使っても生徒の理解度は違いますので、自分の課題を洗い出させ、解決策を考えさせ、アドバイスを与えたうえで「処方せん」を作成し、それに取り組ませます。そして、教師の一方的な全体説明をやめて、友だち同士で助け合ったりさせれば、学力差があっても授業は活気のあるものになります。

 
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