教師は多忙です。校務に加え、生徒指導や保護者対応に多大な労力と時間を取られます。校務の中には改善・合理化できるものがありますので、それを検討し、「代案を用意した上で」建設的な意見を出して改良していけば、多少負担が軽くなる可能性があります。一方、生徒指導に関する忙しさは2種類に分かれます。1つは事後指導で多忙であるケース。もう1つは事前指導で多忙であるケースです。
中学生は鳴り物入りで入ってきた学年を除けば、入学時は問題を起こしません。緊張と期待で、気持ちが引き締まっているからです。このときが勝負です。生徒が「先生方は厳しいけど温かい」と思ったら、まず第1ステージは成功。カギとなるものは、納得できる説明と、教員の誠意です。生徒が教師に感謝し、教師を信頼するようになれば、事後指導で慌ただしく走り回る可能性は低くなります。
これは飛び込みで担当した2年、3年にも当てはまることです。この年代の子どもたちは、素直に他人を受け入れることをしなくなっていますが、「先生は自分たちのために頑張ってくれている」と思ったとき、教師に対して心を開き始めます。「〜しなさい」とか、「〜してはいけません」という指導では、なかなか生徒の心をつかむことはできません。イソップ物語の「北風と太陽」の話は、教育にも通じると思います。
もう1つ大切なことは、「楽しくてわかる授業」を用意することです。楽しさには、fun, exciting,
thrilling, interesting, moving, controversial,
accomplished, appreciatedなど、さまざまな種類があります。これらをバランスよく入れた授業を作ることが、実は生徒の信頼を得るためにとても大切なことなのです。さまざまな工夫がいるからです。
また、字面を教えるだけの授業でなく、友だちのアイディアを知ったり、違いを楽しんだり、心を揺さぶられるような題材に触れたりしたとき、生徒は心を開きます。授業は生徒指導そのものです。学校を健全な状態にするには、授業の工夫が不可欠です。そうなれば、精神的にも肉体的にも余裕ができ、自分の英語力をブラッシュアップする時間もできてきます。
私は、以下のような方法で英語の勉強をしてきました。
(1) NHKラジオ「英会話」「ビジネス英会話」などを録音し、シャドーイングをする。
(2) 生徒にライティングをさせ、それをチェックする。教師が知らない表現が出たり、コロケーションなどで自信がないものが書かれたりすることがよくあるので、辞書を引いたりALTに尋ねたりする。
(3) ALTとたくさん話しをする。
生徒は自分の頭にある言葉を英語で表せたときに、とても喜びます。Input一辺倒ではなく、IntakeとOutputを融合した授業をすれば、生徒も張り合いを感じ、教師も英語力をアップすることができます。つまり、生徒との信頼関係にしても、教師自身の英語力ブラッシュアップにしても、よい授業を作る努力があってこそできるものだと考えています。
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