低学年から英語活動を実施しており、中高学年より文字を導入している小学校出身の生徒は、ある程度英語の文字に親しんでいます。また、小学校ではローマ字の学習を数時間行っています。しかし、中学校入学時に英語を読み書きできるというのは期待できませんし、それは中学校でできるようにすべき項目です。
では、中学校ではどのように文字指導がなされているかというと、これが「きわめて乱暴である」と言わざるを得ません。
Hello. Nice to meet you. Good morning. などは、中1の最初に学習する表現ですが、これらはローマ字読みの知識では読めません。ですから生徒は、例えばmorningは全体で「モーニング」と読むのだと認識してしまい、この語がm+or+n++i+ngを足し算で読んだ結果、と読むことを知らないまま綴りを丸暗記し始めるのです。これが、英語学習の苦痛となります。さらに中1の1学期の早いうちから単語テストをされると、生徒は英語が嫌いになり始めます。
我々が1週間にハングル語やアラビア語の単語を5つずつ覚えなければならない状況を想像してみてください。それが、生徒の気持なのです。ですから、安易に単語テストをするのは考え物です。文字をたくさん見せ、たくさん書かせることと同時に、フォニックスを導入して、文字と発音の関係をある程度理解したのちに、文字と音と意味が合体し始めた頃に「どれぐらい単語を覚えているか試してみよう」というポジティブな気持ちで単語テストをするのがいいと思います。
私が2006年に担当した中学1年生は、『楽しいフォニックス』(教育出版)という教材を使って、フォニックスの学習をこつこつ積み上げていきました。そして、そこで学習した単語を中心にして作成したカルタを毎日のように楽しみました。3週間ぐらい同じカルタを使ったのちに「抜き打ちカルタ単語テスト」をすると、半数の生徒は1発で正解を書き、残りの半数はヒントを手がかりに正解にたどり着きました。カルタを楽しんでいる間に、自然に単語を覚えたのです。
文字指導には、以下の手順があります。
1.大文字の形
2.小文字の形
3.アルファベットの名字(エイ、ビー、スィーなど)
4.アルファベットの仕事(ア、ブ、クなど)
5.子音+母音の読み方(短母音:1番読み)
6.子音+母音の読み方(長母音:2番読み)
7.母音の3〜6番読み
8.綴りのルール
9.特殊な読み方
これらについては、いずれ詳しく説明いたします。現時点では、『田尻悟郎の楽しいフォニックス』(教育出版)というCD本をご参照ください。
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